譲歩なく帰任した長嶺大使、韓国から足下見られる;大統領選で中間派の安哲秀の支持率急上昇

 4日、85日ぶりに韓国・ソウルに帰任した長嶺安政・駐韓大使は、なぜ戻ったのか、ずっと疑問に思うままだ。

◎何も譲歩がなく帰任しては甘く見られる

 一時帰国した理由が、ソウルの日本大使館前の慰安婦像が日韓外相合意に反して撤去されないばかりか、昨年末、釜山の日本領事館前に新たに慰安婦像が設置され、外国公館の威厳の侵害の防止を求めたウィーン条約の二重の違反への韓国政府への抗議であったはずだ。

 ところが事態は変わらないままだ。それでも戻った。

 理由は、北朝鮮情勢などの情報収集に注力するため、というが、そんなもの、臨時代理大使で十分である。

 むしろここで帰任したことで、朴槿恵前大統領の罷免で、どうせ日本は何もできない、とする現政権に甘く見られた。

◎面会求めた2大臣から面会拒否

 例えば、長嶺大使が帰任直後に面会を求めた統一相の洪容杓と国防相の韓民求とから、面会を拒否された。さらに大統領代行の黄教安との会談も、いまだに色よい返事は得られていない。それどころか反日一色の韓国メディアからは、「極めて異例で、外交的非礼だ」とまで批判されている。

 侮辱的で、屈辱ではないか。こちらは、合意に盛られた10億円を日本はすでに拠出して合意を履行しているのに、守らないどころか逆に踏みにじる態度だ。

 長嶺大使の帰任は、大失敗である。さっさと召還すべきだし、韓国が合意の遵守に着手しない限り、ずっと大使不在のままにおくのがよい。

 それが、日本が世界に正義を訴える根拠の1つにもなる。

◎支持率を急上昇させている「韓国のビル・ゲイツ」こと中間派の安哲秀

 ところで韓国の政局は、5月の大統領選1色である。

 案の定、左派の「共に民主党」の大統領候補には、従北派(親北派)の文在寅が圧倒的多数で選ばれた。一時は、このままの勢いで大統領本選も独走するか、と見られていたが、ここに来て、対抗馬とされた「韓国のビル・ゲイツ」とされる中間派の安哲秀が一部保守派の支持も集め、支持率を急上昇させている。

 スターリニスト中国が通商面で多数の嫌がらせを加えているTHAAD配備に対し、文在寅は本音では反対だが、安哲秀は「国家間合意は守る」という姿勢だ。総じて、安保問題では親米・反北朝鮮の姿勢をとる(日韓外相合意に反対など反日姿勢であることは文在寅とあまり変わらないが)。

◎最有力の文在寅は「嫌いな候補」ナンバーワン

 北朝鮮という核とミサイル、さらに毒ガスを蓄えたならず者集団を隣に抱える韓国民としては、対米友好関係と安保では安哲秀なら安心できる。

 実際、最近の世論調査では、保守も候補が出る多数対決選なら、文在寅が3分の1以上を獲得し、1位となる。しかし文在寅対安哲秀という左派対中道の対決では、保守の票も取り込んだ安哲秀が文在寅を8ポイント前後離して当選、という予測となる。

 2人対決なら、保守の票が安哲秀に回るからだ。

 そもそも「当選したらワシントンより先に平壌に行く」とする従北の文在寅は、支持率は高いが、実はそれを上回る不支持率なのだ。「嫌いな候補」ナンバーワンなのである。

 であるとすれば、どうせ保守は勝てないのだから(保守2党の候補の支持率はいずれも数%で2桁に達しない)、候補を出さずに大統領選に臨んだ方がいい。

◎保守派は安哲秀に結集できるか

 前にも書いたが、「嫌いな候補」ナンバーワンの従北・左派の文在寅が大統領に当選したら、保守系市民、特に退役軍人から総反抗が起き、内戦となりかねない(3月26日付日記:「『文在寅大統領』なら保守系市民は国民抵抗権発動で内戦の可能性も:韓国は激動の時代へ」を参照)。

 THAAD撤回となればアメリカのトランプ政権からも、ボイコットされる。ソウル株式市場は売り一色となり、経済的にも不況に落ち込む。

 冷静に考えれば、文在寅ノー、となるが、そこは「理よりも情緒」の韓国である。

 韓国民がアホか多少は理性的かのリトマス試験紙が、来る大統領選なのである。

昨年の今日の日記:「江戸時代元禄期に鎖国・禁教下の日本に単身で布教に来たイタリア人宣教師シドッチ司祭の遺体を確認」