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ホテルを舞台に過去と現代が交錯するサスペンス劇…映画 『サラエヴォの銃声』

『汚れたミルク』のダニス・タノヴィッチ監督の最新作品を観ました。ベルナール=アンリ・レヴィの戯曲『ホテル ヨーロッパ』を原案にした映画です。サラエヴォ事件から100年たった記念式典が行われる高級ホテルが舞台。時は2014年6月28日、第二次世界大戦のきっかけになった皇太子夫妻暗殺事件“通称サラエヴォ事件”の100年目の記念式典会場。そのホテルの屋上ではジャーナリストが戦争についてインタビューしていたり、式典に招待されたVIPの1人は部屋で演説の練習をしています。また100年前の暗殺者と同じ名前の謎の男もいます。一方、賃金未払を巡ってストライキを企画している従業員たちがいます。それを阻止しようとする支配人や仕事熱心な受付の主任嬢がいます。そんな混とんとしたホテルの中で一発の銃声が鳴り響き、それぞれの人々の運命が交錯していく群像劇です。

ホテルという限られた空間を舞台に屋上、ロビー、リネン室、ゲストルーム、地下と、交互に切り取られるさまざまな人々の人生。登場人物たちのリアリティあふれるセリフ、そこから見えてくる複雑なサラエヴォの悲劇的な歴史など、監督の風刺を効かせた目で描かれている緊張感あふれるストーリー展開でした。絶えず動き回るカメラと俳優たちの熱演が限られた空間で印象深く演じられていました。

いまだに民族間の恨みつらみが残っている様子は、単一民族で平穏な社会の日本人には不思議に思えます。命を懸けるほど民族間の血って大切なものなの?? お互いを傷つけあって一緒のドロ船に閉じこもって沈没していくようなイメージで映画を観ていました。正直あまりにかけ離れた状況に消化しきれないものがありました。ヨーロッパ人にとっては切実な問題なんでしょうが…狭い空間の中で、あらゆる人種の人々の思惑が絡み合う群像劇としては緊迫感ある映画でした。

2016年製作の1時間25分のフランスとボスニア・ヘルツゴビナの合作映画でした。