NGOで働く誠実な若い医師の悪夢…映画 『逆行』

本作品で長編映画デビューしたカナダ人監督ジェイミー・M・ダグの作品を観ました。サスペンスドラマと人間ドラマをミックスさせたような映画でした。主人公のジョンは、ラオスNGOの医療活動に従事する若いアメリカ人医師。激務で疲れた体と心を癒すため、リゾート地を訪れます。そこで待ち受けていたのは想像もつかないような衝撃的な事態でした。

NGOで働く誠実な若い医師が、正義感から行動したことが一瞬の激情に駆られて取り返しのつかない殺人を犯してしまうという、皮肉な巡り合せの物語です。それはバーで飲んで宿に帰る途中で起きました。地元の女性を暴行した外国人観光客ともみあいになり、相手を制止しているうちに謝って撲殺してしまいます。ジョンは投獄されるのを怖れ孤独な逃亡者となります。必死の逃走で隣国のタイにたどり着きアメリカへの帰国の道を探ります。そんな悪夢のような出来事を追った映画でした。

言葉が通じず文化や習慣の違う異国の地で、警察に追われる孤立感と恐怖心を繊細に描いていました。そんな極限自゜ょ宇タイでの逃亡劇をサスペンスとして楽しむ一面、人間の弱さや哀しさについても描いているのがチョッピリ異色でした。ある意味では人間の贖罪について踏み込んだ表現もされている感じがしました。ラストに人生最大の決断を迫られた主人公の心の葛藤を通して、“人間の正しき行動って何?”と問いかけているようでした。