噛みつき男

クビにはならんだろうけど。

また異動を喰らうかもしれないなあ。なぜなら、ウチの本部長に噛み付いたからです。

火曜日にウチの本部長による予算方針説明会というのがありました。私の階級向け。もう年度が始まって4ヶ月も経ったのに、何が方針ぢゃ、ボケ、くらいの感じでばっくれようと思っていましたら、どうも出なければならないものらしく、ほぼ強制的に出席。

ウチのカイシャで本部長というとけっこうエラくて、普通は3ケタの部下がいます。ウチの人は執行役員で、取締役の一歩手前の人。とてもエラいです。私は正直言って顔と名前が一致していなかったくらい。

説明はパワーポイント14枚で30分ほど。量も適当だし、私は本社管理部門にいたことがあるから数値なんかもある程度意味がわかるし、非常にわかりやすい言葉を選んでいた上に、ことあるごとに、これはみんなでやったんだ、とか、これはみなさんがすごいから、とか言葉を入れるので、全体に好感。直接の上司は暗愚ばかりだけど、もっと上にはけっこう聡明な人がいるのだな。

ただ、ムラムラとイライラしてきたのは、この人のところにも下々の濁流は届いていないのではないか、穏やかな清流のような仕事だと思ってはいまいな、ということで、特にウチの本部が人海戦術感情労働みたいなことをしているのをわかっているのか、というのははなはだ疑問でした。これは聞いてみようと思っていたのですが、質疑の時間が実質的になかったので、私はひとり本部長に歩み寄りました。

聞いてみたのは、ウチのカイシャって、同業他社さんに比べると、設備面で著しく劣っていて、人海戦術感情労働みたいなことをずっとやっているのですが、そのあたり設備投資ですとか、環境の改善といったことはお考えでしょうか、ということです。もちろんきちんと名乗ったし、言葉はずいぶんと選びました。

これに対する答えは、現在本部として顧客管理システム(CRM)は選定中であるし、チャットボット(AIによるチャット)もマルチメディア化の一端として検討している。また、音声の自動テキスト化も一部で試行している。ただし、予算の関係もあるので、今年度中は無理だから、そこはガマンしてほしいとのことでした。

本部長はさらに、他の同業他社は単位時間でいかに多くの通話をこなすか、という方向に行っているが、ウチはむしろ通話時間を伸ばしてでも、通話品質とお客さま満足度を上げたいので、そこは理解してもらいたい、とも。

私は、お話はわかりましたが、今のやりかたのままではオペレーターが大きなダメージを受けることも多いので、お金で買える、お金でカタのつくものはなんとか早くお願いします、と述べて、それはよくわかりました、と言われました。

うーん。実は私は、ウチの本部で何人メンタルで休職していると思ってんの、そういうとこを無視して品質も何もありませんよ、くらいに言いたかったのですが、正直言って気圧されたこともあり、そこまでは言えませんでした。

でも、一介の係長級が本部長に意見したのだからね。フツーに考えてこれは無事には済むまい。怖いことにウチには今よりひどい仕事なんていくらもあるからな。かかってくる電話は基本的に全部クレームで、トイレにも自由に行けなくて謝り続けるヤツ、とか。

いいんだ。オレみたいな養う家族も、失う地位もない人が言わないと。そう考えると、やっぱりもっとガンガンに言うべきだったなあ。